保険診療と自費診療

保険診療とは、健康保険に加入していれば2~3割の自己負担で治療を受けることができる歯科診療のことです。
厚生労働省が定めた手順・材料・治療法で行うことが保険給付の絶対条件です。また日本の歯科医療の保険診療報酬は、欧米と比べて20分の1程度におさえられています。そのため自費診療と比べて費用がかかりませんが、お口の状態によっては、十分な治療を保険内で行うことが難しく、最低限の治療しか行えない場合があります。

自費診療とは、治療にかかる費用の全額を患者さんが自己負担する歯科診療。健康保険が適用されないため患者さんが全額負担することになり、治療費用は高額になります。しかし治療の手順や材料・治療法に制限がないので、天然歯に近い審美性の高い素材や、長期にわたり耐久性のある素材が選べるだけでなく、歯周組織の再生療法や歯周外科手術、審美補綴、インプラント補綴など高度な技術を要する治療を、患者さんが希望される範囲で十二分に提供することが可能です。

一方で保険診療では指定された材料しか使用できません。治療手順も治療方法も制限されます。たとえばむし歯が大きいため神経を除去せざるを得なかった歯については、支台築造(歯の内部に金属等の人工材料で土台をたてること)→金属冠修復の流れと手順が定められており、それ以外の方法を選択することが難しいケースがあります。なによりも保険診療が主に前提としているのは歯1本単位の治療であり、そのため咬み合わせ等のお口全体の機能を考えた総合的な治療は対象となっていません。
ところが、奥歯のつめものがとれたと来院される患者さんの中には、実際には咬み合わせ全体に問題を抱えていて、お口全体の総合治療が必要な方が少なくありません。もちろん短期的には奥歯のつめものをやり直す治療も大事かもしれませんが、根本的な解決になっていないことは言うまでもありません。その状態が続けばいずれ咬み合わせの機能は崩壊していき、十分な食生活が営めなくなる可能性が高くなります。
例えれば、基礎工事の不備で斜めに傾いたマンションにおいて一部の窓ガラスが割れたからと新品のガラスに交換しても大局的には意味がなく、いずれ倒壊していくのと同じです。しかし総合的な治療には一回あたりの治療時間、治療終了までの治療期間が多く必要になります。一歯単位の治療を前提にした保険診療では、十分な治療時間も治療期間もかけることがきわめて難しいのです。

実は、保険診療と自費診療の最大の違いは、十分な治療時間・治療期間に裏付けられた精度の高い治療にあるといえます。
治療にかかる費用とか、見栄えが悪い銀歯と天然歯と同じように見えるセラミックとかは、副次的な違いに過ぎません。

自費診療のメリットは、費用が高くても使用できる材料に制約がなくなり、また十分な治療時間と手間をかけることで、時間的にも材料的にも精度の高い治療をうけられることにあります。そして咬み合わせの問題を考慮にいれた精度の高い治療は、長期にわたり安定したお口の健康を守り保証します。

もちろん、先ほど副次的な問題とした見栄えの良さとしての審美面でも、さらにかみ合わせという機能面のいずれにおいても、治療効果が長持ちする自費診療と保険診療とではすぐに大きな差が出てきます。費用面でも治療効果が長ければ短期的なコストは小さいものとなるはずです。

これをご覧になっている皆様は、ぜひ費用面だけにとらわれず、長期的なお口の健康や美しさを考慮して、診療内容を選択してください。

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